ホーム
 
●ペダルカー博物館
 

下の写真は3歳ごろの店主です。当時、近所に住む女の子が所有するペダルカーをよく借りて遊んでいました。今でも、その楽しい思い出は記憶として鮮明に残っております。

3歳にしてペダルカーの虜となり、自動車会社に就職後の20年ほど前から、スチール製ペダルカーを収集するようになりました。原点は、3歳の時に遊んだ、あのペダルカーと同じものを見つけるためにです。玩具屋さん、骨董屋さんを何度も訪ね歩いたものです。多くの先輩方と出会い、懐かしい話で盛り上がったりして、楽しいひと時を過ごしたものです。

残念ながら、同じペダルカーは見つかっておりませんが、年代別に多くのコレクションが整うようになりました。皆様に少しでもペダルカーの歴史を知っていいただきたいと思いまして、「ペダルカー博物館」と題し実物と私的コメントにて紹介します。

歴史と言っても参考文献は皆無ですので、時代考証やコメントに誤りがあると思います。貴重なご指摘がありましたら、どうぞご連絡ください。また、ご質問も承っております(海外からもメールが届いております)。

皆様が、「小さいころ、僕(私)が乗っていたのはこんなタイプだったな・・・」、「欲しかったんだけど、買ってもらえなかったな・・・」、「懐かしいっ〜!」、などノスタルジックな思い出にドップリ浸ってくださることを期待しております。

海 外
米国:ガートン・ポリスカー(Garton Police Car)
1950年から1960年代終わりにかけて、ガートンはこのシンプルなボディーを基本としてHot Rod、フェンダーの付いたTin Lizzie、蒸気機関車を模したCasey Jones Locomotiveなど、さまざまなバリエーションを販売しました。その中のひとつ、ボンネット先端にサーチライト、サイドにはサイレンとアンテナを装着したのがポリスカーです。アクセサリーは欠品状態ですが、アメリカではレストア用パーツがありますので、モデルによっては再生産部品が入手可能です。左右のフロントタイヤは1本の車軸でつながり、方向転換は車軸ごと動かします。
全長84cm・全幅40cm
米国:マレー・トラクター(Murray Tractor)
当店が輸入・販売しておりますのはマレー社の復刻品ですが、こちらは1960年代に販売された当時のオリジナルモデルです。トラクターを商品にしてしまうのは、いかにもにアメリカらしい発想です。マレーはもとよりAMF、BMC、GARTONなどの有名メーカーもトラクターを商品にしました。サイドにはエンジン・歯車などのメカニカルイラストがプリントされております。ペダルからの動力はチェーンドライブにより車軸へ伝わります。後輪タイヤの深いブロックパターンは実車同様に力強いものです。後部のシート下には、別売りのトレイラーを引っ掛けるフックが備わっております。広大な農場で遊ぶ、ジーンズ姿の子供が目に浮かびます。
全長90cm・全幅45cm
英国:トライアング・グランプリ・レーシングカー(Tri-ang Grand Prix Racing Car)
フロントエンジン時代のグランプリ・レーシング・カーです。1962年から1968年まで、トライアングのカタログに掲載されていたモデルです。リヤの車軸には小さなコイルスプリングが付いております。通常、左右どちらかのホイールは小回りしやすいように空転しますが(実車のディファレンシャルギヤ的役目)、この製品は車軸に左右ホイールが直結です。ボディーが大きいうえに、小回りも苦手です。シートの着座位置、ドライバーの姿勢など魅力あふれるペダルカーです。お子様の気分はイギリス人ドライバー、マイク・ホーソン、グラハム・ヒルあたりでしょうか?
全長1m15cm・全幅85cm・ホイールベース68cm
日 本
大正時代(1912〜1926年)
日本では大正時代にペダル式自動車型の乗用玩具が作られ始めたと思われます。時代考証として、当時のカタログと絵葉書をもとに大正時代に誕生したことといたします。洋書によると、海外におけるペダルカーの誕生は1920年代からとなっています。日本でも同年代に、このような立派な製品が作られたのは大変驚くべきことです。日本は昔から、「乳母車」がとても普及していました。それらの製造技術が、ペダル式乗用玩具を作るのにとても役に立ったのでしょう。
タイヤは柔軟性のあるゴムが開発される前のものですので、コルクのような硬いものです。車輪は乳母車から流用されたものでしょう。ボディーの色は、職人さんが筆書きで丁寧に仕上げたものです。当時の実車は黒や濃紺のボディーカラーが多い時代ですが、この様な洒落た色も存在していました。
全長75cm・全幅50cm・ホイールベース50cm
全長80cm・全幅45cm・ホイールベース50cm
昭和時代(1950〜1960年頃)
不明
1950年代中ごろから終わりごろの製品です。木と鉄を巧みに組み合わせたフレームと波打つことなくプレスされたボディーは、大変丁寧に作られています。ハンドルは鋳型から取り出したアルミダイキャストか鉛製のようです。フェンダーの形状は左右、前後対称。クリームとレッドの洒落たツートンカラーは、当時のロードスター同様に軽快なスタイルを演出しております。
全長90cm・全幅45cm
金馬・デラックス(Kinba Deluxe)
1950年代の華やかなアメリカ車をイメージして作られたのでしょう。ハンドル横にはヘッドライト点灯用とブザー用のスイッチが並んでいます。豪華なウインドゥシールド・押し棒など、まさにフル装備です。シートの手前にもう一つシートがありますが、これはペダルを操作しないで大人が押し棒を使って操作するときに、足を乗せる場所です。重量はかなりあります。
全長100cm・全幅45cm
昭和時代(1961〜1970年頃)
ヒタチ・ベイビー・キャデラック(Hitachi Baby Cadillac)
ヒタチ製の63年型を模したと思われますキャデラックです。ヒタチのシリーズには、フォードマスタングなどもありました。シールにCadillacとプリントされていますが、GMの許可を得ているのか疑問なところです。フロントフェンダー・ボンネットのエッジは、実車の特徴をとてもよくとらえています。リヤは他の車種にも使える汎用デザインですので、派手なテールフィンは備わっておりません。サイコー製電子ブザーが使われておりますが、このメーカーは自転車のブザーで有名です。手押しハンドルが付いたバリエーションもありました。実車は有名ですが、キャデラックのペダルカーは意外と珍しい存在なのです。
全長98cm・全幅48cm
アポロマン(APOLLO MAN)
亀の子たわしのようなボディー形状です。バンパー、ミラー、ヘッドライト、サイドモールと、この時代らしく多くの鉄製パーツが利用されています。しかし、白いシートは一体成型の樹脂ですので、見た目以上に軽く作られています。ブザーは当時の自転車に広く使われたもので、「ハツネ電機製作所」の製品です。ブザーのフタにも「Apollo Man」の小さいシールが貼られているぐらい、名称にこだわりを持っています。
全長100cm・全幅45cm
ベビーワーゲン(Baby Wagen)
「ワーゲン」と名称が付いています。たしかにボディー後半のプレスラインは、「カルマンギア・タイプ1」に似ています。しかしボンネットとトランクのシールには、なぜか「オペル」のマークとネーミングが貼られています。ボディー前半は「オペル・レコルト」といったところでしょうか。ボティーカラーはフレンチブルーのようですので、フランス車のようにも見えます。鉄製のバンパーは、ボディー形状と複雑に合わされています。ナンバープレートはシングルナンバー「東京5 」と縁起の良い「7-53」の組み合わせです。
全長98cm・全幅47cm・ホイールベース60cm
サンコー・トライアンフ・ビテス(Sanko Triumph Vitesse)
三幸工業のエンジニアは、かなり英国車通だったのでしょう。直列6気筒エンジンを搭載したトライアンフ・ビテスです。フロントはもちろん特徴のある「チャイニーズ・アイ」。レーシングストライプに3スポークステアリングを装備しています。フロントの立派なエンブレムはサンコー・ブランド、トランク上は本来ジャガーEタイプに付くものですが、ビテスにもなぜか奢られております。クロームメッキのフロントグリルには「Triumph Vitesse 6」と、自信を持ってネームが刻まれております。
全長82cm・全幅42cm・ホイールベース46cm
モーリ・モーリスインディ(Mori Moris Indi)
こちらのモーリスインディは、70年頃に生産されたもっとも初期のタイプです。右の写真、ナンバープレートのシングルナンバー「東京5 も20-00」が時代をよくあらわしています。他の特徴としましてフロントバンパー、ハンドルのホーンケースとスポーク部・シャフト部がスチール製です。生産時期によって同じボディーでも、それらが徐々にプラスチック製へ変更されます。トランク上の穴は、手押しハンドルを差し込む場所です。「モーリ」のエンブレムも立派な成型品です。ピニンファリーナにも負けないデザイン、魅力的なスポーツカースタイルです。
全長100cm・全幅46cm・ホイールベース52cm
昭和時代(1971〜1980年頃)
モーリ・モーリスマイクロレディ・警察仕様(Mori Moris Microlady Police)
モーリスインディとともに、モーリを代表するモデルです。ボディーカラーは赤色など何色か在ったようですが、こちらは警察仕様です。欠品ですが、本来シグナルランプが装着されています。1970年ごろ発売され、バンパーやステアリングホイールが鉄から樹脂に変わるなどの改良を経て、何年にもわたり製造されていました。名称マイクロレディーのレディは、たぶん実車の日産フェアレディSP/SRからヒントを得たのではないでしょうか?ボディー形状はホンダS600になんとなく似ています。
全長87cm・全幅46cm・ホイールベース52cm
サンコー・ジャガーEタイプ(Sanko Jaguar E-type)
三幸工業のジャガーEタイプは、1964年ごろから販売されていました。サンコーのモデルは、後部に製造年度のシールが貼られておりました。実車で言えばモデルイヤーでしょうか。このEタイプは「1975」です。伸びやかなボディー・プロポーションは特徴を良く捉えていますが、当初はもっとシンプルなグリル・バンパー類が付いていました。実車同様Sr.を重ねるごとに本来の美しさが損なわれていくようです。ボディーカラーはオリジナルですが、なんとも表現し難い色合いです。サンコーの特徴で、ボディー裏側にはタイヤハウスまで作られています。
全長105cm・全幅43cm・ホイールベース52cm

まだまだ、あります。つづきはもう少しお待ちください。

 
ホーム
 
Copyright (C) 2009 OLD AVENUE, All Rights Reserved.